れんれん連歌部。第一巻、第二巻
連歌部入り口。
連歌部部室。
第一、二巻目部員→ キタダヒロヒコ(顧問) 田丸まひる(部長) しんくわ 加藤苑三 佐藤羽美 千草話静加
こんな風に連なってきました。
一.冬の枝の巻 午後三時 君と校舎と冬の枝 ヒロヒコ この北風を僕だと知って 羽美 明快となりすぎはしない名解答 静加 待ってるなんて思わないでね まひる 宙に浮く悲しみは粒になりました 苑三 きりんのママンに知らせておこう しんくわ いつまでも君はキリンの夢を見て 羽 しょうがないからひとりで泣くよ 静 今日雪が降ることくらい知っていた ま 手だけこんなにはだかのままで ヒ てのひらを陽に透かしてもいいですか 苑 熱伝導するわたくしたち。指。 し 指先がキララキララと鳴いている 羽 嫌い、嫌いと泣いてほしいのに 静 春も夏も秋も嫌いという君の ま ADD.をそろそろこのゆびで消す ヒ 少しだけ誰かを失えるだろうか 苑 気球に乗り込む人を見つめる し 暖かな大気を抱いて眠る夜 羽 訳のわからない微笑を交わす 静 くちびるが歪んでるのに気づかない ま うたごえなびく女子感化院 ヒ たった今 汚してしまった白色と 苑 あなたが押さえる黒い鍵盤 し オルガンをきれいに分解いたしましょう 羽 蜘蛛の巣の咲く暖かな日に 静 さよならは正しく紡ぐべきですか ま 二百年後のあおぞらのため ヒ 美化された空の写真を撒き散らす 苑 雪洞の中の錬金術師よ し 白銀の魂をもつ僕たちは 羽 瞳のなかの王国へゆく 静 さようなら冬の姫君さようなら ま うはごとくりかへしてゐる夜あけ ヒ あきらめてもう帰りなさい、白い息 苑 真冬の三時の悲しい長針 し |
つ ら な る こ と を ゆ る さ れ ま し た |
二.マダム・ド・ヴァニラの巻 そのひとは夏には顔がよごれてみえた ヒロヒコ 理由はいくらでも作られる 苑三 その劇の少年を撃つ理由を述べよ しんくわ ―「多分、姿勢が歪んでた、から」 羽美 蜃気楼のような記憶を信じよう 静加 信じよう信じよう信じよう! まひる うつつともゆめとも分かぬ於母影の ヒ 幸福の王子、砂糖菓子、星… 苑 砂糖壷に閉じ込められし青年は し それでも世界を忘れはしない 羽 快感や時間、価値観、世界観 静 思い出さなきゃ(思い出さなきゃ?) ま あはれあはれ悪の組織のきらびやか ヒ 小劇場の扉は開かない 苑 鍵を探すとき貴方の耳に触れるとき し 心臓に咲く薔薇の一輪 羽 過ちの過去繰り返す一輪車 静 千人いれば千人分の ま にほやかに記憶の小瓶振るマダム ヒ 逃げて、バニラのとりこになります 苑 パティシエのバニラの付いた指先に し 噛みつく猫がマダムのすべて 羽 銀猫が艶美に舐めるチョコレイト 静 よりも熱うくとかしますわよ? ま うらわかき溶接工のスーツ、初(うぶ) ヒ たいせつなとりをかかえてあるく 苑 雛節句 乱入 月 酒 鳥 青年 し ぜんぶおくれとマダムは泣いた 羽 とけおちる―百華寥乱―花びらに 静 こいびとのくちびるをください ま はね返す歯のやはらかき青林檎 ヒ 川に放して、空に放して、 苑 放たれて 河には「fish」空には「banana」 し 君の声だけ思い出せない 羽 浅はかなわたしはサカナ。泡に舞う 静 あなたと海に帰るのが夢 ま |