一人になる練習しようと顔上げて足踏みをする桜の下で
身をかがめ不安に押しつぶされている泣きながら爪切っている夜
言い訳と嘘しか言えないこの喉を掻きむしる夜十八になる
プラスチック世代
前向きに生きろと言われてその「前」がどこにあるのか分からなかった
背伸びする銀葉ヒマワリ日に落ちて大人になりきれないままだった
振り返り振り返りして五歩ごとに確かめた顔泣き笑いのまま
「希望する職業」欄は真白にて夢という名の枷に苦しむ
居眠りを瞑想と言いしかめ面してもごまかせぬ君の船漕ぎ
夕暮れにカルピスソーダの匂いしていつだって二人だよという嘘
ベクトルは向かい合わない交わらない二人の間の方向と距離
オレンジに染まる横顔大人びてこの帰り道永遠となれ