君用の殺し文句
優しさをふりかざすのが好きなのね 胸から泡がこぼれて痛い
胸んとこギシギシいってる。ポンコツのサイボーグかもしれない、ワタシ。
「涙、見せてくれなかったね。一滴も」「サイボーグだもん。泣けば錆びるわ」
欲しいのはたった一滴。それなのにどこにいったの、愛と目薬。
恋人か愛人か妻 お別れのときに一番泣けるのにして
今いちばんあたしが欲しいもの当てて。ヒントは左手・薬指・銀。
ありがとうホント仲良くしてくれて 銀色夏生の本は返して
返してよ、預けておいた恋心。利子はあの日のキスでいいから。
クラス一優しい利子が思い切りふられたときにみんな 笑った
思い切り皮膚呼吸がしたいので、背中のホックをはずしてください。
背中から羽根が生えてる神様はそっとしといてほしいそうです
「人間は好きじゃないのよ、羽根の色だけで善悪決め付けるから。」
人間になってしまった堕天使の悲鳴をパスタにからめる夕べ
ひとつくらい我侭言ってみたかった。「ちょうちょの形のパスタが食べたい。」
我侭の得意な女のふりをして君を安心させよう 九月
ビロードの小箱の中で銀色いわっかがとても得意気、キラリ。
死んじゃうとみんな優しい人になる? キラリ、キラリ、カッターナイフ
君用の殺し文句を用意して、言葉のナイフを一晩研いだ。
灰色がまひる、ピンクが紅さまです。