土星派遣員試験'04
「誰よりも咀嚼したげる。空っぽのわたしに宿るきみが欲しいの」 左手のねえさん指がうつくしいひとに安心なんかできない 信じない! 運命の赤い糸だってこんな縛られ方じゃ足りない 「うつくしい背骨を持っているんだね」シーツにこぼれたぬくもり舐める 「すねてへん。白雪姫の継母の名前を思い出せへんだけや」 ふしだらな林檎の皮を剥きなさい(土星派遣員試験'04) 数学も物理も得意な尾形くん正しい入射角でえぐって ゼンマイ式姫君のネジも回せない(ただのともだち)レプリカ王子 振り切ってみたいくらいの春だから「ごめんね」なんて大気圏外 チーズくさい嘘なんてすぐばれるから絶対に軋まないベッド買う ご自慢の犬歯ピカリと光らせた父さんの恋人と父さん |
SOS! きみの裸足をかじらなきゃよじれて死んでしまいそうなり どの森を誰から逃げるつもりなの? 迷彩トランクスの尾形くん もう何も聞きたくないの(怒らないでお願い)オルゴールの歯も全部削って こいびとが蜜柑に爪をたてるとき小さく喘いでもいいですか 新しい罰はまだなの? 耳鳴りも乱視も君にももう慣れたから 尾形くんあなたが隠し持っている公認サディスト免許を出しな このロビー居心地いいね来るつもりないからわざと選んだんだね やさしさを沸騰させたやさしさをわたしに差し込むひとは帰って テーブルの真下の治外法権であなたの指に遊ばれたいの 声帯がうごめくほどに熱く(して)胃の腑をそっとかき出してます パンダというパンダ上野にむかってもあなたまだかわいそうじゃないから 望みならあります、あります、ありすぎて頬づえなんてもうつけません ミニスカの中は最高気温です走れなくなるまでは走るね 怖いとき変な顔するこいびとに囁く『よいこのための怪談』 |