つめたいですか



  花吹雪だれかの声の切れ端にかき乱されていたって走る

  さりさりと燃える橙色の街 つよがっていたわたしがわるい

  乳白のつぼみを間引く 誰にでも愛されているなんて思うな

  やわらかな炎に水をこぼすときあなたの淡い悲鳴 ちがうの

  わたしよりきれいな指を持つひとがちぎるサラダ菜(寒いね)(そうね)

  無理やりに眠って埋める時差みたい 寂しくないよ、ちゃんとできるよ

  あたらしい星座を発見するように粛々たどるこいびとの背(せな)

  自由などかんたんでしょう真新しい鞄の蝶々ボタンをちぎる

  眠りゆくあなたの耳の輪郭をなぞる指先 つめたいですか

  どこまでも線路は続くわけじゃない帰れる場所があるから帰る



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