奪わない、奪われないでいるひとと風葬の向こう岸を見ている

「守るよ」ときみが啄む指先もおんなのひとになるしかないの

あたたかい言葉まみれの決別の手紙ちいさくちいさくたたむ

キッチンを見ればおんなは分かるって言い張るひとの鼻先かじる

ふつつかな殺し文句をさしあげるコンビニ並ぶまぶしい夜道

自転車の後ろに乗せるひとがもうわたしではなくなって花冷え

疑いを知らないひとが注ぎこむ熱に揺られているふりをする

寂しいと寂しくないの境界線ずうっと引かないでいる親友

窓際の椅子にもたれてすくい取る春の淡雪 食べてもいいの

愛されることにためらったりしない桜ひとりで見ない ぜったい

からっぽのドロップス缶何度でも振り続けてるような さよなら

ひざがしら冷たい床に押しつけて本気で噛んでしまうくるぶし

色のないリップクリーム重ねてもばれないような嘘をつきたい

ひどいこと言われたくないならそんなきれいに深刻そうにしないで

ひだまりのにおいの秘密聞かされるときゆるやかに上がる体温

罪のない嘘つくときもせせらぎのような彼女は顔を歪める

泣き出せばにじむアネモネ 先生と呼ばれたくない女子医学生

スカートの襞にきちんとしまい込むきみを泣かせてしまう真実

小糠雨のようなセックスずっとずっとずっときれいなからだでいたい

どこまでも青信号がつづく道(だれにも止めてもらえない道)
       
           
       風葬の向こう岸





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